福津市まちづくり.com
2020年12月定例議会において、議会に100条特別委員会を設置することが決まりました。
その設置に多くの疑問が寄せられ、
また市民の皆様には、この100条特別委員会という名前は知ってはいるが、
設置成立の過程やその目的など理解できない方も多く居ると感じ、
まちづくり.comは、市民の皆様の意見や成立までの過程を解説を交え、
ここに掲載する事と致しました。
解説文中にある法や条例は、ボタンで大きく掲示しますので、
面倒でしょうが照合しながらお読みください。
地方議会に置くことが出来る委員会には、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会があります。
これら委員会は、地方自治法(以下自治法)109条第①項で議会が条例に基づき設置できるとされており、
そして設置された委員会は、自治法109条②項で、その部門(所管)に関して公共団体
(市行政や教育委員会行政など)の事務に関する調査や議案、請願を審査する、としています。
福津市の議会は、自治法109条に基づき議会委員会条例(以下委員会条例)を定めており、 条例に沿い下記の3つの常任委員会を設け所管事項に関し調査、審査しています。
また条例の全文の閲覧は、webにて『福津市議会委員会条例』で検索し閲覧下さい。
また、自治法109条③項にある議会運営委員会も設けられており、
合わせて4つの委員会(総務文教委員会、市民福祉委員会、建設環境委員会、
議会運営委員会)は、議員である委員で構成されますが、
議員の任期の期間は常設されていると考えてよいでしょう。
それぞれの委員会に属する議員は、市議会HPで閲覧することが出来ます。
自治法109条には設置できるとされていますが、
実際には常設されていない委員会に特別委員会と言うのもがあります。
この特別委員会の設置は、委員会条例 6条で『特別委員会は、必要がある場合において議会の決定で置く。』
とされており、常設はされていません。
この特別委員会は、前述の常任委員会とは異なり、
自治法100条において、調査に関する制度の中では最も調査範囲が広く設定され、
調査を行うため特に議会が必要があると認めるときには、選挙人(選挙権を持つ人)、
その他の関係人の出頭及び証言並びに記録の提出を請求することができる、
とされており拘束力を持っています。
議会で決められた公聴会などに指名される公述人、参考人は議会により決定、
議長からその旨が通知(会議規則80条)されますが、
出頭要請や記録の提出を理由も無く拒んだ際は、
自治法100条③項にあるように禁錮刑や罰金も科せられます。
見にくい場合、webで『地方自治法100条』で検索しご覧ください。
そのような大きな調査権を持つ特別委員会ですから、議会会議規則(以下会議規則)では、
起案者の他に2名以上の賛成者が居なければ議題とすることが出来ない、
としており、2名以上の連名を以て議長に議案提出(会議規則14条1項)、
議会運営委員会は、自治法109条③項に基づき議案を審査、
議案として適正かどうか審議を行い、議員起案の議案(動議)として取り扱われます。
見にくい場合、webで『福津市議会会議規則』で検索しご覧ください。
今回起案者が提出した動議、『総合教育会議学識経験者等意見徴収業務委託の事務調査のための特別委員会設置』は、
12月定例議会最終日の12月8日、起案者の尾島武弘(新政会)会派代表議員により
その事由(動議内容)が議場で朗読されました。
その朗読の中には、起案者本人が提出した議案文でないと思える文章(副市長、教育長連名の文教委員会宛の要望書)も読まれたが、
これは総務文教委員会で再調査すべきもので、表題の特別委員会事務調査起案の要因になるものではないと思われましたが、
この動議(議案)は、当日の議場において審議にかけられ、議案に対する質疑や反対答弁がなされた上議場に諮られ、
賛成議員10名を以て成立いたしました。
その内容は、市議会HPに掲示されており、右記ボタンでも閲覧可能です。
また決議に際し、100条特別委員会構成委員は全議員18名で構成する、
その特別委員会の委員長には起案者の同会派である米山信議員(議会副議長)が就くことで決定されました。
以上が特別委員会に関する法、条例、規則ですが、これらに則り設置となりました。
しかし、議案に取り上げられる過程は、市民の皆様への公開や説明はありませんが、
これらに関しwebやツイッター、ビラの配布で様々な意見、中傷、誹謗が報じられています。
まちづくり.comには、議会中継を見ていた市民から多くの意見が寄せられており、まとめると以下のようになりますが、
それらも参考にしながら市民の皆様は、何のための特別委員会なのか、
自らの観点でその目的を理解頂けたらと願います。
起案朗読の内容は、総合教育会議学識経験者等意見徴収業務委託に関する事務手続きの不備や
総務文教常任委員会宛ととられる副市長及び教育長連名による事務調査に係る要望などであったが、
起案朗読後質疑にあたった文教委員会委員やその他の議員から、
起案内容は文教委員会の所管と思え、文教委員会において継続審議を望む意見も議員から出され、
いきなり特別委員会設置は時期尚早と言える反対意見も出された。
これらを傍聴して、一連の起案は、議会自らが設置した文教委員会所管業務を信頼できないと言うものであり、
今回の事件は今後の委員会業務に影響を与えるものとなる。
全ての委員会業務は、数名起案で多数の賛成者が居れば所管業務先を簡単に変えられる、と言う事になるが、
そのようなことで良いものでしょうか。
そうであれば常任委員会などは必要ないと思えるが、自治法が定める常任委員会は何のためにあるのか。
そもそも副市長、教育長からの要望は、文教委員会に出された要望であるから、
文教委員会で審議するのが筋道で、これがいきなり特別委員会設置の要因に挙げられるのは、
傍聴の立場からでも不自然なものと思われた。
そのような内容のものが特別委員会調査対象となるのであれば、
まず先決すべきは議会における委員会のあり方を問う特別委員会から始めるべきだと思え、
今後議会における議案審査、議会運営機能を心配する。
どの委員会で調査、審議するかは別として、
委託業務手続きに不備があったのであれば調査を願うものであるが、
市民は市行政が環境調査委託業務に至る経緯は良く理解できるものである。
発端は学校新設問題にあり、市民はいち早い建設を望むものであるが、昨年3月より論じられてきた
建設場所やその規模、内容が進展しない理由の中に建設場所の安全性、環境保全を確認できる検証が
得られないことにあると理解している。
これらは2020年3月議会において、教育部は、建設予定地の安全性について、竹尾奥地にあるため池崩壊
の可能性は、都市整備部が実施を計画しているため池調査に基づくハザードマップ検証待ちで検討する、
活断層調査、地盤調査は基本計画で行う、環境保全のための環境アセス調査を行い検討する、などを回答
したが、何一つ実施しない折、市行政は不安要因を一つでも解消できるよう
予定地の地盤調査などを9月議会で起案したが、議会により否決された。
これは賢明な否決と思え、本来は教育部の起案により行うべきのもので、基本設計で行うのであればやればよい。
さらに市行政は環境保全の論議に至り、今回の学識経験者意見徴収委託におよんだものであるが、
本来これも教育部が行うべき業務である。
市民は、どの部署であろうが懸念材料となっている事案は早く検証、解消いただき、
過密化解消へ向けいち早く前に進むことを望むものである。
その検証のために事務手続きが遅れたなどはどうでも良いことで、
金銭が絡む不正な委託業務を行ったものとは異なり、手続きの問題と理解している。
そのような経緯を昨年一年をかけ論じてきた議員らは誰よりも理解しているはずであり、
動議の発議前には、文教委員会から一連の調査継続の要望報告がなされる中で、
いきなり100条委員会設置が起案されたことに驚き、これは何を目的としているのか、
そちらの方が心配される。
市民一丸となって小・中学校の過密化解消へ向け論議しあっている折、
議会は業務監査だけにあるものではなく、隣の福岡市では、市行政が実施へ向け進めている業務について、
市議会は業務検証のための特別委員会を設置し、有識者委託で市行政の整合性を独自で検証、
市行政に反映させている。
当市では、昨年1年かけて論議してきた過密化対策について議会独自で検証する動きは見られず、
議案として挙がったものだけについて監査、議論が繰り返される。
前項で見られる昨年3月議会の教育部の安全性、環境保全検証業務に関する業務停滞こそ特別委員会に該当と思えるが、
それらに対する委員会起案もない。
過密化解消へ向けての検証業務は、どの部署が行おうとも市民誰一人反対するものではありません。
私たち市民が願うのは、今回のような100条特別委員会ではなく、過密化を解消させる委員会です。
建設予定地選択は教育部の業務であれば不安材料解消へ向けより良い地を求め検討を進めてください。
市行政は、そのための財政処置、将来の重要インフラなどまちづくりへ向け良い案を検討してください。
市議会は、文教委員会、特別委員会でもよいので独自の検証を進め、市政へ反映させてください。
これは福津市民の願いです、学校に通う子供達、教職に携わる先生方、皆さんもきっと同じ思いです。
これらを選挙に絡めた政治論、業者の収益論などがもしあれば、それらに関わらずいち早く進める事を望みます。
まちづくり.comに、色々な意見が寄せられ第3者の立場で論議しましたが、
本件に関しては、今回の事案が100条特別委員会相当の事件になるのか、
と言う意見が多かったように思います。
議会や議会運営委員会は、コロナが深刻な状況にある今の時期に、
このような議案に時間をかけ携わるのは適正なのでしょうか。
昨年より多くの市民の関心はコロナに関するもので、
発症の疑いを持った際の連絡、検査、隔離入院体制、家族や子供への感染防止策は、
残されるかもしれない子供たちの養育や教育など、不安な思いは令和3年も続くことが予想されます。
市民はじっと耐え、家に籠っています。
行政は、対応をHPに記載するだけではなく、
決められた景気対策補助金やタフレットを子供たちに買い与えるだけではなく、
その先に見える福津市独自の将来へ向けての方針を考えて頂かなければなりません。
議会運営委員会は、市民が今何を願っているのか良く耳を傾けて頂き、
行政や議会に働きかけるなど、議会改革を進めて頂きたいと願います。
二元代表制で送り出された人たちは、自分たちの使命を忘れないでいただきたい。