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2020年12月8日定例議会において発足した100条特別委員会は、
2021年1月26日調査報告文を議長に提出、
同時に議会は議決されていない報告文を異例の速さでHPに掲示した。
地方自治法101条では、『議長は、議会運営委員会の議決を経て、
当該普通地方公共団体の長に対し、
会議に付議すべき事件を示して臨時会の招集を請求 することができる。』とされており、
報告文の審議は、2月15日に開催された臨時議会で、米山100条委員長により
調査報告が議場になされ、この議案に対する反対、賛成の意見を以て採決となり、
賛成多数によりこの報告議案はこの時点で可決、特別委員会はこれを以て終結に至りました。
今回の100条特別委員会発足の根底には市民が望む学校施設の過密化防止があり、
100条委員会は、その対策意見協議会である総合教育会議で報告された『学識経験者等意見聴取業務』の委託において、
事務手続き上に疑義があるとして発足、今回の報告に至りました。
まちづくり研究会は、総合教育会議以降の主要行事を報告書に基づき調査業務を時系列に並べ、
市民の皆様にも分かり易いように特別委員会の調査を整理してみました。
以下がその表です。
今回起案者が提出した動議、『総合教育会議学識経験者等意見徴収業務委託の事務調査のための特別委員会設置』は、
12月定例議会最終日の12月8日、動議起案者と2議員の署名をもって起案書が市議会議長宛に提出されました。
議会運営委員会は、この議案審査を行い議会上程を決議決定(12月8日)し議案として議場に諮られたと推測いたします。
この動議案は、同日の12月8日、起案者の尾島武弘(新政会)会派代表議員により
その事由(動議内容・設置理由)を議場で朗読、説明されました。・・・※動議内容はボタンで閲覧できます。
その朗読の際には、起案者本人が提出した議案文でないと思える文章
(副市長、教育長連名の文教委員会宛の要望書 12月7日議長宛に提出)も読まれたが、
これは総務文教委員会で再調査すべきものと思われた。
この要望書は、表題の特別委員会事務調査起案の要因になるものではないと思われましたが、
起案者の尾島議員はこれを紹介、行政内部統制確認の要因としてこの動議(議案)は、当日の議会において審議にかけられ、
議案に対する質疑や反対答弁がなされた後、議場に諮られ、
賛成議員10名を以て成立いたしました。
また決議に際し議長より、100条特別委員会構成委員は全議員18名で構成する、
特別委員会の委員長には起案者の同会派である米山信議員(議会副議長)が就くなど、
同議場で同意が諮られ、賛成多数で決定されました。
以上の経緯を以て、福津市議会に100条委員会が設置に至りました。
100条特別委員会は、掲げた調査の要点とその結論を次のように報告された。
(要点1)ア 地方自治法第 232 条の 3 の遵守について(報告文P15下段)
(結果 )本件業務委託は地方自治法第 232 条の 3 に反する契約等を行ったと結論付ける。(報告文P17中段)
(要点2)イ 地方自治法第 217 条第 2 項の遵守について(報告文P17中段)
(結果 )その目的を達成するための手法が明らかに違っていることから、 法令違反とまでは断定できなかった。(報告文P18上段)
(要点3)ウ 内部統制について(報告文P18中段)
(結果 )内部統制が機能しなかった最大の原因は、 内部統制の最高責任者である原﨑市長自身が、 庁内規定をはじめ法令遵守に対する意識が希薄だったことにある。(報告文P18下段)
※参考 法令やガイドラインはボタンで掲示できます。
私たち市民は、100条委員会調査過程の実態の全てを伺うことはできませんが、
地方自治法や市条例・規則・規程等を含め、それらを基に正しく運用されているのか、という観点に立って、
この調査の目的、経緯、報告を判断しなければなりません。
地方自治法は、最初の総則に以下のことが書かれてあります。
第1条 この法の目的
第1条の二 この法が担う役割
(詳細文面はボタンでお確かめください。)
私たち市民にとって身近で重要に感じるのは第1条の二で、
『地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本』
としており、この地方自治法には、そのための市行政はもとより議会の運営、あり方も含まれております。
私たち市民は、私たちに成り代わる行政の長(市長)や議員、
合わせて二元代表者を選出し、市政、議会に送り出し、地方自治法に則った業務に携わって頂いています。
以上の事を念頭に今回の100条調査に至る原因を検証しますと、何度も繰り返しますが、
私たち市民の目的と要望は、『福津市の学校で起こっている過密化の解消』にあります。
その解消へ向けた学校新設計画は、子供達や地域住民の避難場所を含め、安全で将来の学校に相応しい場所にと願うものですが、
その場所の選定の過程で不安要素であった安全性、周辺自然環境影響を問うものとして行った今回の『学識経験者意見徴収委託』は、
市民が望む大筋の目的に沿ったもので、
どの部署が行うにしても、やらなけばならない業務であった、と市民は思っています。
しかしながら今回の100条調査報告には、本件の動機とも言える重要な『過密化解消』については全く触れず、
委託業務実施へ向けた書類の手順だけに絞られ、
その結果前述の要点1に示す通り、この委託業務手続きは違法であった、と結んでいます。
100条委員会は、この動機を調査、認識せずして、今回の委託業務を正しく検証はできたのか、と市民は思っています。
また、要点2、要点3についても、今回の100条報告に対しweb傍聴者からもたくさんの意見が寄せられました。
まちづくり研究会は、市民からの意見について、日ごろ市民の関心のない福津市議会会議規則、財務規則、
訓令の事務決裁規程などにある文章も照会しながら、指摘事項に注釈を加え以下紹介いたします。
1、報告文面について
■100条委員会が行っていない業務を報告書に記載するのは不適切でルール違反。
100条委員会が発足したのは12月8日、報告書P5に記載する書類の提出依頼、受領は、
12月8日以降のものであれば理解できるが、以前のものも書かれてあり、これは行った業務ではないと考えられる。
12月8日、100条議会において総務文教委員会が継続審議を要望したにも関わらず、
それを無視して100条委員会を発足させたのだから、100条委員会で行った業務を正確に記するべきである。
また報告文とは思えない個人的な感想、意見などが随所に見られ、報告書の形態がとられていない。
2、地方自治法232条の3について
■100条委員会は、自治法に記載される法と予算について明確にせず違法としている。
調査した内容を長々と説明しているが、232条の3に書かれてある法とは福津市が示す財務規則だと覗える。
事務決裁規程は訓令(ルール)なのでここで言う法とは言えない。
よって財務規則に従い100条報告書(以下報告書)を検証すると、
この法に基づく書類の整理上では不備、違反は見当たらない。
100条委員会が言う法とは何を指しているのか市民にはわかり辛く不明確である。
報告書に記載される調査は、①事務処理規程の決裁と財務規則にある予備費充用(予算確定)、
支出負担行為(業務委託契約)についての日付、提出順序、
書類の有無や②証人喚問での聞き取り調査であるが、
①においては会計管理者月例報告(報告書P9)
にも記載される通り、福津市財務規則にある予備費の充用伺提出(規則27条1項 提出11/5)→
総務部長審査(規則27条2項)→予算成立の通知(規則21条1項)で会計管理者へ通知→
会計管理者は月例報告で11月に報告していることが覗える。(予備費充用で予算は法上11/5に確定)
※備考1:財務規則に書かれる予備費充用、支出負担行為は、部課長以下の専決者が行う予算処理を対象としており、
市長自らが行う予算処理については明確な処理法は見当たらない。
②について100条委員会は、実質の支出負担行為書類(業務委託契約書)の提出を求め、
受理しているように思われるが、報告書には契約書に書かれてある契約日及び契約期間は明記されていない。
商法上では、契約書に記載される日が債務を負う日となるが、市長はこの日
(地方自治法上確定した日 報告書P12(キ))を11月9日と回答、片や100条委員会は契約書締結日を
10月1日(報告書P17上段記載)としている。
100条委員会は、証人証言や書面調査に基づくとして契約日を特定しているが、
仮に口頭約束で10月1日を契約日とした場合、10月30日に部分履行により請求書が提出されたら支払いを認めるのでしょうか。
やはり契約書を交わさないと出来ないでしょう。
報告書文面から、
と覗える。
今回の業務委託は市民の誰もが願う委託業務であり、10月30日の総合会議で報告される内容を市民は待ち望んでいた。
そのような背景で行われた業務委託は、市民にとっては必要不可欠で有意義なものであった。
今回の委託業務は、私利私欲のためではなく市民の期待に添う委託であったと誰もが理解する中、
予算処置や契約行為は財務規則に添い行われており、
業者側が行った業務の履行保証ともとれる業務実行日に遡り契約日としたのはむしろ当然である。
そのような背景を理解せず、20万の予算を計上し取り行われた100条委員会は、市民にとって有意義なものとは全く思われない。
そして総務文教委員会が指摘する第三者の立場で行う行政監査もせず、
このような内容の報告書を早々出したのは、いったい何のために、誰のためになったのか。
今回議会が行った業務には、市民の存在は全く感じられないものであった。
3、地方自治法217条の2について
■100条委員会は、217条2について断定できなかった。としている。
これは、前述に記載する条文『予備費は、議会の否決した費途に充てることができない。』
という事項について調査をしたものであるが、報告書のこの項の巻末(報告書P18上段)には以下の文が書かれてある。
『その目的を達成 するための手法が明らかに違っていることから、法令違反とまでは断定できなか った。
しかしながら、今回の疑義が生じるような予備費充用は厳に慎むべきであり、
予備費充用ではなく専決による補正予算を可能な限り検討すべきであった。』
この赤字で示す部分は、不適切な報告であり、ここでの疑義は補正予算や専決などの問題では無く、
議会により否決された議案事業と同じ内容の事業履行を疑うものであり、
この文を読んだ市民は専決で行えば
議会が否決した同内容議案事業でも再度補正予算を計上すれば出来ると解釈しかねないなど、
全く表題の検証と合わない不適切な文章である。
4、内部統制について
■100条報告書で、『市長自身が、庁内規定をはじめ法令遵守に対する意識が希薄』としている点について。
一般的な社会ルールを考えると、上位職者(市長)からの業務命令(訓令)であれば従うのはその社会のルール。
今回は、市行政の内部統制(ルール)は大筋で守られていることが報告書で分かった。
行政職員が難点を指摘できなかった、しなかったのは、長の統制の問題よりも職員の資質、忖度、その他の要因など、
原因はいろいろあると思われるが、大きな組織では当たり前に起こることで、
総務省ガイドラインもリスクとして認めている。
またこのガイドラインは、これに記載される通り政令都市に向けたガイドラインであり、
内部統制ルールを従来の訓令などに添い運営されている当市行政組織をこのガイドラインに沿った指摘、
非難は無意味で不適切に思えた。
■副市長、教育長からの要望書から見る内部統制について。
副市長、教育長から提出された要望書こそ議会は、このような直訴みたいな要望は行政の内部統制に係ることなので、
まず市長本人に要望するものとして突き返すのが普通で、議会はこれを100条起案の1部の要因にするなど、
議会は自ら市行政の内部統制ルールを崩してしまった。
市職員に対しても今後同様の事態があった際は、議会に泣きつけば取り上げてくれるなどと間違った実績すら与えてしまった。
挙句の果てに報告文では、今後内部統制をルール化することが望ましい、と評論家みたいな文言で結ぶなど、
報告書の書き方から勉強すべきであると市民は失望した。
また何が原因であるかは不明であるが、結果的に100条起案の要因にされた副市長、教育長は辞表を提出した。
■100条動議起案に関する議会の内部統制について。
12月8日議会終了日に総務文教委員長からの報告は、『監査委員へ行政監査を行うことを要望する。』であり、
議会は副市長、教育長の要望は聞くが、
自ら議会に設置した総務文教委員会の報告(監査員による行政監査)や継続調査を望む要望を無視、
同日に出された動議起案を議会運営委員会は審査したのか、直後に100条委員会の動議が議案として諮るなど、
議会は市行政とは比較にならない内部統制の矛盾を暴露した。
これでは今後の常任委員会の所管業務すら適正に行われるのか心配される。
他の組織の内部統制を批判する前に、まず自らの内部統制の確立を行うべきであり、
他市も定める議会基本条例など、議会の目的や自らが行う業務について規律を定め、市民に公開する必要がある。
まちづくり研究会の目的は、『住民の福祉の増進を図ること』であり、
これは地方自治法が掲げる目的と重なるものです。
そのような目的へ向け、私たちは二元代表者を選び業務に携わって頂いています。
その中で今回の業務委託は、私たち市民が望む『学校施設の過密化解消』へ向けての必要な業務委託であったと思っています。
前述の市民からの意見も交え一連の報告文を検証しましたが、
今回の100条委員会が行った調査は私たちの望みから大きく逸脱し違った目的のために行われたのではないかとすら感じられ、
市民の意見は行政がとった処置よりも議会がとった処置に批判が集中しました。
その結果は、今回行われた市長選挙に反映されていると思います。
市行政は基より市議会の目的は『住民の福祉の増進を図ること』であり、
議会は与えられた権限を住民不在で、過半数の決定権を利用しその他の目的に利用しないよう願います。
また市行政に携わる市職員の皆さんも何が正しいのか自ら広く判断を願い、
上司の一方的な判断、指示ではなく、部内、庁議で協議を繰り返し行政に生かしてほしいと市民は願っています。