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地球温暖化、海水温上昇に合わせ水位上昇、私たちの身の回りでは、
豪雨の発生、巨大台風発生、藻類の死滅、
磯焼け白化現象などが具体的な現象として感じられるようになりました。
そのような折、2020年10月、国は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、
カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。
カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させると言うものですが、
温室効果ガスとはどのようなものを指すのでしょうか。
それには、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、フロンガスなどがありますが、
その内地球温暖化に及ぼす影響がもっとも大きな温室効果ガスは二酸化炭素(CO2)で、
石炭や石油の消費、私たちが燃料として日常的に使用するガソリン、都市ガス、
プロパンガスからも発生しています。
これらに対し、大気に放出されたCO2は、森林に吸収、海洋に溶解され、
木々や海藻が行う光合成やサンゴ虫が行う炭酸カルシウム化などにより固着されて行きます。
このように、大気中に排出された温室効果ガスを固着により吸収させ、
排出=吸収固着の状態をカーボンニュートラルと呼んでいます。
私たちの身の回りには、都道府県、
市町村からのカーボンニュートラルに対するパンフレットが溢れています。
公共団体が取り組む施策としては、
一般廃棄物(住民が生活により排出されるゴミ類)は収集し焼却場で焼却処分、
粗大ゴミやプラスティック類は分別収集によりリサイクル、資源化の促進、
また下水道、し尿処理施設では、
施設の稼働により出て来る汚泥(微生物や有機物)は、肥料として再利用するなどが
取り組まれており、これら廃棄物処理から生まれるCO2の95%近くは焼却処分で発生しています。
では私たち個人はどのように参加すれば良いのでしょうか。
それにはどのような行為により、どれくらいのCO2を発生させているか知らなければなりません。
電力の使用など間接的に発生させているものもありますが、
やはり排出量の大きなものは、日常的に使用する車のガソリン、
料理や湯沸かしに使用する都市ガス、プロパンガス(LPガス)ではないでしょうか。
表をご覧ください。
各家庭で使用する量は異なると思いますが、平均的に月に50Lのガソリンを消費した場合、 50×2.32 = 116 kg-CO2/月・・・(1)
これも各家庭で使用する量は異なりますが、統計から各家庭の使用料は6〜12m3/月が多く、
皆さんの使用料を当てはめて見て下さい。ここでは10m3/月として計算します。
LPガス重量換算=10×2.033 kg/m3 = 20.33 kg/月(LPガス比重量=2.033)
CO2発生量= 20.33×3.0 (kg-CO2/LP-Kg) = 61 Kg-CO2/月・・(2)
環境省が発表する世帯の年間電力消費量は表の通りで、地方によりばらつきがあるものの、
ここでは私たちが住む九州の値 4669kwh/年として計算しています。
また1kwh発電から排出されるCO2量は発電する施設で異なりますが、
日本国平均値540g-CO2/kwhで計算します。
電力消費によるCO2発生量=4669×540/1000 = 2521.26 kg/年
※数値は表を参照ください。
■ガソリンとプロパンからのCO2量
各家庭で排出するCO2量= (1)+(2)=116+61= 177 Kg/月
年間に排出するCO2量 = 177×12か月= 2,124 kg/年・・・(A)
■年間発生CO2量
年間=(A)+(3) = 2,124 + 2,521 = 4,645 kg-CO2/年
となります。
排出するCO2をKgで表示してもなんとなくわかり辛いですね。
では具体的にどのくらいの森林と樹木が必要か試算してみましょう。
右の欄に表示する林野庁のデータを参考に試算すると下記となります。
人工林の杉林1ヘクタールが1年間に吸収するCO2量は、8.8ton(8,800kg/年)
林野庁は、1ヘクタール当たりの杉の木は1000本で算出
また1ヘクタールは10000m2ですから樹木の密度は、1本/10m2です。
これらの条件に世帯が排出するCO2量4645kg/年で試算しますと、
年間排出量を吸収させる広さ= 4645/8800 = 0.527 ヘクタール
その中で育てる樹木数 = (0.527×10000)/10 = 527 本
気が遠くなる数字ですね、皆さん約75m四方の広さに527本の杉の木を管理できますか?
また林野庁が統計的に試算する家庭からのCO2排出量は、2017年データで年間4,480kgとしています。
ここでの試算は、4,645kg/年ですが、ほぼ等しい値になりました。
林野がいかに重要か理解いただけたでしょうか。
私たちが日常の生活を営みながら出来ることは、
車をガソリン車から電気、水素燃料自動車へ乗り換える、
都市ガス、プロパンから電気を利用したクッキングヒーターなどに替えるなども考えられますが、
現状ではまだまだ技術開発中で、コスト高もあり簡単にはいきません。
また前項で試算した通り、現行の発電施設では発電によるCO2発生量は膨大で、
カーボンニュートラルの観点からすると簡単に電力に頼ることはできません。
二次災害を防ぐためには、原子力よりも水力、風力、海洋の潮流、波力、太陽光など自然を利用した発電が望まれます。
日本における総発電量の割合では火力発電が70%を超えており、
この火力発電は大量のCO2を排出します。
以下に記載する表は経産省エネルギー庁が発表するデータですが、
火力発電で1Kwを発電する際に使用する燃料から排出されるCO2量の表となっています。
私たちが出来ることは、家庭内ではゴミの排出量を少なく、プラスティックは分別ごみへ、
無駄な電力使用を避け、下水道への節水を心がけるなど、そして林野や海洋ではゴミを廃棄せず、
日照の保全を心がけるなど、全てを全うすることは難しいでしょうが、
前述したCO2の発生源を理解し、出来ることを一つずつ行う事ではないでしょうか。