福津市まちづくり.com

福津市の上水道の現状



私たちがごく当然のように使用している水道水、止まると慌てますが、 福津市の水道水はどのように供給されているのか、皆さんご存じですか?
また、水道水が自然環境に及ぼす影響って考えたことありますか?




 図ー1 

水道水と自然環境 図-1 参照

降雨により私たちの町に降った水(Q0)は、 地表を流れる河川や地下水となり海域へと流下していきます。
河川やため池から水道用水として取水された水(Q1)は、浄水場で浄化された後、 上水(水道水)として各家庭に配水されます。
その役目を果たした水は、各家庭から汚水として集められ、 現在は下水処理場で浄化、処理水(Q1)として河川に戻されます。

一時河川をバイパスした水(上水Q1)は、最終的に下水処理水として河川へと戻されますが、 その間の河川水は、浄水として取水された分、水量を減らし(Q0-Q1)、流れています。
同様に農業用水として取水された分も、河川を流れる水量に影響を与えています。 このように、水道用水や農業用水は、 河川の自然環境に影響を与えていることをご理解ください。








 図ー2 

福津市の水道事業の沿革

昭和42〜54年にかけて始まった福間町、津屋崎町の水道事業は、
昭和51年、宗像水道企業団の設立の際、 企業団操業の暁には水道用水の需給を受ける確約書を交わし、
昭和59年、宗像水道企業団多礼浄水場の操業開始により、福間町、津屋崎町へ一部給水が始まりました。

平成17年(福津市誕生)、需要が増えるにつれ用水確保を検討していた宗像水道企業団は、 福岡水道企業団と操業する海水淡水化事業から水道用水を受給開始。
平成19年、宗像市と福津市は、宗像地区事務組合を発足させ、宗像水道企業団業務を移行。
平成22年、宗像市と福津市は、水道事業を統合し宗像地区事務組合に移行。
平成23年、宗像地区事務組合は、都市間緊急水道用水連絡管として計画が進んでいた 福岡北部水道連絡管(福岡〜北九州間)からの受給を開始。
平成26年、宗像地区事務組合は、北九州市と水道事業の包括委託の基本協定を交わし、
平成28年には、北九州市により、宗像地区事務組合の水道事業委託運営が始まりました。





 図ー3 


水道水の導水と配水系統 図-3 参照

宗像地区事務組合から水道事業の包括委託を受けた北九州市は、平成28年から事業を開始、 宗像市地域や福津市地域に水道水の供給や使用料金回収などの業務を始めました。

私たちの町、福津市には五つの配水池があります。
  配水池とは:高所に水道水を貯め、各家庭に配水する貯水タンク

畦町配水池へは、福岡地区水道企業団が操業する多々良浄水施設からと 北九州市が操業する本城浄水場から送水、
東福間配水池、津屋崎高、低地配水池へは、 宗像市にある多礼浄水場から送水、
本木配水池は、従来の簡易水道施設を利用するなど、
福津市にある各配水池へ水道水の送水が行われ、各家庭に届けられます。
従って、私たちは、福岡市に流れる多々良川や玄界灘の海水、 また遠賀川の水や宗像市を流れる釣川の水を飲んでいる、と言うことになります。



水道水の使用量と使用料金

水道水の使用量は、全国的にみると少子化により減る傾向にありますが、 私たちの町福津市では、人口増加に伴い給水人口は増え続けています。
宗像地区事務組合が発表した水道ビジョン(平成30年度)によりますと、 福津市の給水人口は52,340人(H28)、一日平均給水量は13,846m3(H28)で、 このデータを基に、

日平均給水量=13,846×1000/52,340= 264 L/人・日
(福岡県平成25年度データ=262〜290 L/人・日です)

これに現在(令和元年6月)の福津市人口を乗ずると、

1日平均給水量=264×65,500/1000= 17,160 m3/日

となります。
給水人口には、独自水源(井水使用者等)は含んでいませんが、 現在の水道水使用量は約 17,000 m3/日と考えてよいでしょう。
また水道料金は、事務組合水道ビジョンによりますと、20m3/月利用者基準で、 宗像地区事務組合供給下では 4,018円/月で、福岡県平均の 3,672円/月と比べると、 少々高い水準にあります。(平成29年度データによる)



水道水の水質検査

福津市の水道水の水質検査は、宗像地区事務組合が包括委託した北九州市が実施しています。
水道ビジョンによりますと、水源では農薬指定項目120項目、浄水場では水道法が定める51項目や 水道ビジョンで定める自主管理項目を含め、それぞれ年12回程度、 給水栓(各家庭で言う蛇口)では、一般細菌9項目や自主管理項目を含め年4〜12回、 残留塩素や他6項目にあっては、毎日の検査としています。



水道事業の展開

厚生労働省は、平成25年に策定した新水道ビジョンの中で、 地域で水道事業を行う者(宗像地区事務組合)は、 都道府県が策定する水道ビジョンやマスタープランとの整合性を図りながら、 自ら水道ビジョンを作成することを基本としています。
それらを受け、宗像市と福津市で構成する宗像地区事務組合は、 地区の水道ビジョンを作成、平成30年〜39年の10年間を公表しています。
宗像地区事務組合が水道事業を北九州市に包括委託した経緯の詳細は不明ですが、 10年、50年先の水道事業を考えると、水源確保、上水高度処理技術、飲用水水質管理、 料金徴収事務業務など、広域で管理したほうが効率的に良く、 コストダウンにも繋がると理解できます。
委託内容は、浄水場の運転、維持管理業務、水道施設の工事に関する業務、 水道料金徴収業務、検針業務としており、この中には利用者に対するサービス業務や 被災時の防災業務は含まれていないと思えます。
特に被災時の折には、宗像地区事務組合は地区の事情を生かし、 独自の対処法を確立いただきたいと願うものです。



他水系からの水負荷と自然環境 図-2 参照

少なくとも、九州県下で水道事業者が公表する水道ビジョンにおいて、自らの操業で発生する廃棄物(浄化汚泥など)は、 環境に配慮するリサイクル方法などを明記、実施していますが、 水道事業が広域化を辿る昨今、 他水系からの水が流入するすることで起こり得る、 河川の水負荷や自然環境への影響に配慮したビジョンは、見当たりません。

福津市について言えば、水道水利用により発生する河川への水負荷は、 前述の『水道水の使用量』からすると、1日に17,000m3となります。 これらの水量は、自然降雨とは関係なく、 常時福津市の下水道を経て河川に流れ込み、特に下水処理水を放流する河川水系に影響を与えています。
福津市が抱える津屋崎干潟での海水希釈への影響、上西郷川に及ぼす水量負荷の影響など、 宗像地区事務組合は、その地域しかわからない影響があることを関係市町村に提示すると共に、 その検討を送水先行政管理者に求めなければならない、と思います。