福津市まちづくり.com
令和 2(2020)年 6 月に「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」が改正され、 地方公共団体(市域は市、町村域は都道府県等)による ”マンション管理適正化推進計画の策定”、 ”マンション管理者(理事長)等への助言や指導及び勧告”、 また、”管理計画の認定制度”等を含む推進計画策定が新たに規定されました。
国交省は、以下の「マンションの管理の適正化の推進に関する法律の改正概要」を掲示しました。
これは、①マンションの管理の適正化の推進と②マンションの再生の円滑化の推進で構成され、
併せて新旧の改正内容が記載されています。
これらを受け、福岡県は町村を対象とした推進計画策定を終えR5年9月に公表しましたが、当市(福津市)は、
『福津市マンション管理適正化推進計画策定等支援業務』をR5年6月に外部業者に委託発注、
また広報ふくつ10月号に『福津市空家対策計画の改訂』として、
これらに関するパブリックコメント(以下パブコメ)の実施を公報、
10月16日にはその素案を福津市HPや市役所、図書館、郷づくり拠点施設等に掲示しました。
ところが市民の皆さんが市のHPで検索すると、どこに掲示されているか迷うと思いますが、
何とHPの表題は、市民共働→パブリックコメントから
『福津市空家対策計画(改訂素案)についてのご意見をお寄せください。』となっています。
これは、国が進める”マンション管理適正化推進計画”とは関係のないパブコメではないのかと勘違いする方も居ると思いますが、
実はこの中に ”マンション管理適正化推進計画” が付けたしのように含まれています。
当”まちづくり.com”のHPでは、目的が全く異なる”空き家対策”は除外して、
本来の”マンション管理適正化推進計画”(以下推進計画と称す)について、
ご紹介とコメントを掲示していきます。
福岡県は、”マンションの管理の適正化の推進に関する法律(三条の二)”に基づき、
町村を対象とした”推進計画”を発表しました。(ボタンをクリックすると見ることが出来ます。)
同条では”市にあっては市が行う”とされていますが、福津市においても同様の内容になると思えます。
”マンションの管理の適正化の推進に関する法律”の詳細条文にあっては、
福津市提示の”パブコメ素案”のP26以降をご覧ください。
福津市は、この”推進計画”を策定するための業務支援を求め、外部業者に発注を行いました。
(業務発注ボタン参照)
また、この発注した業務内容は不明ですが、それらと並行して推進計画の表題を併記した素案を掲示、
市民の皆様にパブコメを依頼しました。(パブコメボタン参照)
福津市の人口と全世帯数は、R5年9月で68,646人、29,992世帯となっています。この内、集合住宅で暮らす世帯数は、
国勢調査では詳細調査が5年おきになされていますが、民間調査では6,000世帯を超えたとされています。
民間調査数の全てが、ここで言うマンション世帯数と同じではありませんが、
5分の1の世帯が集合住宅で生活を営んでいることになります。
今回行われる”マンション管理適正化推進計画”には、マンションにおける良好な居住環境の確保を図り、
生活の安定向上に寄与することも含まれており、
詳細なマンション世帯数調査は今回の業務支援発注に含まれていることを望みますが、
それらを鑑み福津市で生活を営む全世帯の5分の1の世帯が、”良好な居住環境確保”と”生活の安全向上”へ向け、
推進計画に沿った助言や指導をお願いしたいと思います。
今までに福津市は市内で生活を営む全世帯の5分の1を占める集合住宅世帯の住環境の調査をしたのかわかりませんが、
まずマンションに住む世帯数、世帯人数の調査を行わなければならないでしょう。
同時に区分所有法に則り運営される管理組合の実情を調査しなければなりません。
福津市は、管理組合管理者(理事長)に対しアンケート調査を行うとしていますが、
その内容は前述の”推進計画素案(パブコメ素案)”には明記されておらず、
10月20日現在、市HPにも掲示は見られません。
隣の市宗像市は、この管理組合に対するアンケート調査票内容(ボタン参照)を公示しています。
福津市も公示してほしいものです。
調査をすればわかると思いますが、管理組合の運営は区分所有法や規約に則り運営されています。
この規約は、国交省のガイドラインで掲げる”標準規約”に沿い作成されていますが、
その条文に沿った詳細業務は細則として明記されることが多く、これらはマンションの形態により異なります。
地方公共団体である福津市が行おうとする助言や指導及び勧告は、この細則も把握しなければならないでしょう。
しかしながら福津市が調査する内容は宗像市と同様と推測され、
規約書が有るか否かだけの調査であって規約や細則の内容には触れていません。
従って、地方公共団体が行う助言や指導及び勧告は、管理組合運営には踏み込めず、
マンション管理適正化推進の大きな目的でもある”管理計画の認定制度”には生きて来るでしょう。
この”管理計画の認定制度”は、マンション管理適正化法改正により新しく設定されたものです。
(同法 五条の三)
またその”認定基準”は、同法五条の四に明記されていますが、
管理組合はこの認定を受けることで色々なメリットが生じることになります。
福岡県は、その認定手引きとメリットについて以下を公示しました。
この認定を受ける最大のメリットは、”マンションの市場評価が得れる”と言う事でしょう。
この市場評価は、マンションの売買時には評価を得れるものになります。
またその他には金利優遇も挙げられています。
マンション管理組合は、区分所有者から修繕積立金を預り管理していますが、
単に銀行口座に入れ管理するだけではなく、
そのお金で銀行金利より高金利な住宅支援機構が運営するすまいる債を購入、
運営している管理組合は多いと思われます。
認定を受けることでさらに金利が優遇されると言うものですが、これはR5年度募集より適用とされています。
以上、概略ではありますが、”マンションの管理の適正化の推進”に関して紹介してきましたが、
次項で福津市が求める本件に係るパブコメのコメントを記しておきます。
今回福津市より提示された素案は、空き家対策とマンション管理適正化推進計画内容が混在して記載されており、
それぞれ主目的が異なる事からこの2案は分離して記載すべきである。(前記:パブコメ素案参照)
素案の第3章 空家等対策における施策の(5)マンションにおける空家等対策の取り組みについて、
そもそもマンション内の空き家は専有部であることから、その対策はそれを所有する区分所有者が行うもので、
それらに伴う共用部の住環境などの対策は管理組合が行うものとなる。
その一連の状況が周辺の住民に影響を及ぼすものであれば、
市と協議に至ると思えるが空き家対策の章で記載すべきものではなく、
記載するとすれば”マンション管理適正化推進計画”の章で記載する事項と思える。
素案の5.空き家等の調査の(5)マンションの実態調査で掲げるアンケート調査は、
集合住宅で生活する市民5分の1に該当する世帯にパブコメを求めるものであれば、
その具体的な内容を公開すると良い。
素案の6.空き家等の適切な管理の促進(3)マンション管理適正化の推進及び知識の普及も、
空き家対策とは区別し”マンション管理適正化推進計画”の章で記載すると良い。
素案の11.その他空家等対策の実施に関し必要な事項の(1)計画における目標値及び達成状況の評価に掲げる、
・マンション管理計画認定件数 2件(年間 1 件×2 年)とはどう言うことなのか?
福津市におけるマンションは30棟を超えるものとなっているが、2件しか認定はしないと言う事でしょうか。
この管理計画の認定は、マンション管理適正化計画の大きな目的の一つで、認定申請は管理組合が行うものであると思えるが、
福津市内にあるマンションの管理組合の全てが認定申請を行った場合であっても、
市は年間1件しかも期間2年の限定期間内で、合計2件しか認定しないと言う事なのか?
これは国が言う”適正化の推進に関する法律”に沿うものとは思えない。
挙げればきりが無いが、この素案はマンション管理適正化推進計画について言えば計画書とは言えず、
福津市がマンション管理適正化推進計画の策定で発注した支援業務により作成される詳細計画案(福岡県や福岡市が公開する推進計画と同様内容)を元に、
空き家対策と分離した内容で改めてパブコメを求めるものである。
また、それらが市内のマンション管理組合のマニュアルとなるよう”マンション管理適正化推進計”の作成を願うものである。
(R5/10/21 記)(R5/10/29 一部加筆)
国交省は、2023年6月マンション管理適正化推進計画作成の動向を発表しました。
これによると福岡市、北九州市、久留米市、豊前市はすでに作成済みで、
福岡県(町村対象)は今年度内とされていますが9月には作成を終り公開しました。
ここでは公開された中から福岡市の計画内容例を掲示しています。
福岡市の推進計画では、全てが本来の”マンション管理適正化推進計画”に沿い作成されており、
その内空き家においては、福岡市の住宅及び土地統計調査に基づき一般住宅とマンションを区別して現状割合を比較して掲示することに留め、
その対策は管理組合として管理のあり方を促している。
そのように作成された福岡市のマンション管理適正化推進計画は、
管理組合が行う様々な業務も敢えて掲示することで、マンション管理において理解し易いものとなっている。
一方福津市では、国や福岡県が言う住生活基本計画に則った基本計画は無く、
市営住宅に特価した福津市営住宅長期寿命化計画として類似的に存在するが、
これは、マンション管理適正化推進計画に参照、対比できるものではない。
また福津市は住宅及び土地統計調査を行ったものの、
提示された素案にはマンションに関する空き家の現状などの掲示は無く、
マンションにおける空家等対策の取り組みやマンション管理適正化法に基づく福津市マンション管理適正化指針は、
国のマンション管理適正化指針と同様の内容とする、と結んでいる。
現在福津市における分譲型マンションは30棟を超え、空き家対策世帯と比較にならない世帯が居住するものとなっている。
なにが重要か、住生活の基本を鑑み国が掲げるマンション管理適正化推進計画をしっかり策定願いたい。
この素案は、500万もの費用をかけ作成されたものかは不明ですが、
私たち市民は、本来のマンション管理適正化推進計画に沿った計画を作成頂き、
市民が住み生活するマンション管理に分かり易く、役立つ計画書である事を願うものです。
(R5/10/25 記)